R*Fragments V++

熱く


熱く


噎せ返る位に


トマラナイ


ぁあ、そうか我は焔なのだ







　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　紅蓮の従者
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　EP2:　焔　の　吐　息　　　　　　　　　

山にはヒトなど近寄らない
そこには竜が住み着いているから
人獣共も不用意には近寄らない
其処には死の吐息が待っているから


故に


何もすることがない


食べて、寝て、飛ぶ

毎日がその繰り返し


チリチリと胸の奥が焼けるように違和感を訴え
我が息は炎を纏い吐き出される

そして以前訪れたもののように物体はすべて焼け焦げ
大地へと帰っていく


ぁあ、もう今日は寝てしまおう

そんな時だった
岩肌から白い焔のように揺れる髪が見えたのは

白い肌に際立つ赤い瞳
後ろには悪魔に妖精主に魔種で固められた軍団


「ほう、貴様ロードか」

「炎の吐息を持つドラゴンがいると聞いた」


赤い目を細め剣を抜く


「ヒトに頼まれて討伐か？」


我がいる限り、この山を越えることは出来ない
其れは即ちヒトの行き交いが制限されるということだ


「否、俺には仲間が必要だだからお前を迎えに来た」

「私が？貴様に頭を垂れろと？」

「言っただろう？魔種には魔種のプライドがあるんだ、そう簡単にはいかなんだ」


白髪のロードの後ろで悪魔が楽しそうに囁く


「よかろう此処までこれた事に敬意を表しチャンスをやろう
丁度暇をしていたところだもし私を力でねじ伏せられるのであれば
貴様についっていってもよかろう
さぁ、戦の始まりだ、赤き瞳の戦士よ！」


口から傲と炎を吐き出す
炎はまるでロードを抱擁するかのように纏わりつくも
剣で突風を起こし炎を霧散させる

「がんばってくださ～い」


妖精のやる気のない声にストレスを感じたロードの腕に力が入る


「ほぅこの程度は耐えられるかならばコレではどうだ！」


体中の熱を集中させる
溢れる炎が力を漲らせる


「ククッ、その程度か？俺の専売特許だ、負ける気はしない」


悪魔が嗤えば雷が空を舞い己を高ぶらせ
呻き声を響かせたと思えば
ロードと共に我に切りかかる


「ぐぅまだだ！」


炎は２体を弾き飛ばし
目の前を壁の様に燃え盛る


「くっ」
「楽しいな、もっと闘いたい」


ロードと違い飛べる悪魔は楽しそうに翼をはためかせる
ぁあ、我も楽しい
こんなに楽しいのは久々だ


「気が合うな悪魔よ、我も戦い足りぬよ」

「なら共に来ればいい、もっと戦える、強いやつにも会えるぞ？」

「ふん、この武人ファイアドラゴン気安く人間につけぬのだよ！」


舞い上がり炎を散らせば
そこに立つ薄く笑みを浮かべた白髪のロード
紅い炎に白い炎が蠢く様に見える

なんと、美しい光景だろう


「でやぁ！！」


体勢を崩され首に刃を突きつけられる
上下に動く肩、歪められた眉
しかし緩まぬ手の力
炎の渦の中、人間によもや首を取られるとは


「うむ見事だった、紅蓮の王よ貴様を我がロードと認めよう」





これなら、もう退屈せずにいられそうだ