R*Fragments V++

(現代パロっぽいもの、ノエニド風味、意味がわからなければ回れ右)

初めてその姿を見たのは
取り囲む女子の隙間からだった


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女子の質問攻めにあっている背の高い教育実習で来た男は
どうやら名の知れた大学の天文学部の生徒で
例に漏れずこの高校の卒業生
身長は覚えてなく彼女は居ない
こうして、座って本を読んでいる間にも
勝手に情報が追加されてゆく

群れる女子に机を押されるのを我慢するだけであまり害はないので
会話をＢＧＭ代わりにページをめくる


「珍しい本を読んでいますね」


澄んだ声が落ちてくる
目線だけ上に上げれば
先程まで隙間からしか見えない男が目の前に立っていた


どうでもよくなってしまっていた
違う、虚しかったのかもしれない
勉強も部活も
飽きてしまって
気が付いたら周りに人は居なくなっていた

独りで星を見て帰るのが日課で
そこから生まれた興味から本を取り
その日を迎え
彼に出会ったのだ


実習が終わる頃にはお茶を飲みながら話す程度の仲にはなっていて
今まで白紙だった進路希望が
一つだけ埋まった


「ぇ、うちの大学受けるんですか？」

駅近くの喫茶店、向かいの席で珈琲を飲んでいた彼は目を丸くした

「ニドならもっと良いところ受かると思うのだけれど…」

「そんなに受けてほしくないのか？」

むっとしながらも紅茶を流し込むニドに
慌てて否定の言葉を紡ぐ

「冗談だよ、前から少し興味があった学科で一番近いのがそこだっただけで…」

別にノエルがいるからって選んだわけじゃない
そう言い
恥ずかしそうに目線をそらせる姿に説得力はなく
思わずふきだしてしまう

「ノエルっ」

「すいませ、ん…余りにも可愛らしくて…」

手で口を押さえながら笑う彼が
はっとしながら時計を見る

「そろそろ時間じゃないですか？」

「門限の<そんな>時間、か…帰りたくないな…」

つきたくもない溜め息が零れる
最近再び真面目にやりだした姿を見て喜ぶ両親の気持ちが
有難いはずなのに重い
そして何となく居辛さが体にまとわりつくのだ

可愛い双子の妹が居ればまた別なのだろうが残念ながら彼女の学校は全寮制で最後にあったのは一ケ月も前で…

「……うちに、来ますか？明日、お休みですし」

少し考えたあと
柔かな笑みを浮かべる

たまには息抜きも必要でしょう？
その言葉に釣られたわけでもないが
首は縦に振られていた



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スクロールバーはストライキ中_(:3｣ ∠)_