R*Fragments V++

白に

埋もれる



****Niveus




(クリスマスネタ、ノエニド気味)
.

まるで
雪に隠れるようだった

白い、肌や髪を更に白く
外套をも白く染め上げる

町の中ではまるで祭りのような
賑やかな声
まさか王がこんな場所で一人歩いてるなどと思いもしないだろう
こんな雪のなかでも出店の店主が呼び止めようと声をかける


「(凄いな…)」


何かの誕生祭が捻れて祭り事のようになったらしいと
博識な悪魔がいっていたが…

ほう、と、ため息を吐くかのように
息を洩らせば白く、まるで煙を吐いたようだった

思えばあまり１人で出歩いたこともなかった
昔はドゥクスが世話を焼いてくれたし
今は周りに心配性な使い魔達が…

実際今も半ば抜け出したような形でここ、城下町でふらついている
特になにがしたいわけでもなく
観察に近い散歩、といえばよいだろうか
都合が良いことに雪が降ればあまり目立たないなり故に誰にも気付かれてはいない

街角では恋人同士が何やらプレゼントらしき物を渡しあっていた
どうやらこの祭りは家族や大切な人達にプレゼントを渡し足るするらしい
そしてそれを助長するかのように
プレゼント用にしやすい物を売っている出店が多く並んでいた


「(楽しそうだ…)」


寒く、雪は降れど
街には笑顔が溢れ
声は喜びを含む

思わず口角が上がる
ソレを隠すように雪色のマフラーに顔を沈めた


「そこのお兄さん、寒そうだねぇ」


先の行動を見たのかはわからないが
笑いながら出店の中年が話し掛けてくる

因みに目は目立つ為異界の使い魔が教えてくれた青く色が着いた薄い硝子のよいなものを目に入れている


「あぁ、今日は特に寒いな」


ゆっくりと口を開けばにっかりと笑う中年は今日が一番寒いらしいと教えてくれる


「兄ちゃんはあれか？プレゼントとかケーキでも見繕いにバザーまできたのか？」


だったらうちの店のはどうだ、といわんばかりに手招きをする

そうか、ケーキもいるのか…などと心で思いながらも
適当に相づちを打ちつつ覗けば
目の前に雪に反射して煌めく物が並んでいた……





………

……

…

‥



「ニドっどこに行かれてたのですかっ…朝から姿が見えないから探したんですよ！」

雪を払いながら戸を開けば
偶然ノエルと目が合う
走り回っていたのか少し息を切らしていた


「街に」


外套と目から硝子板を外しながら応えれば
ため息一つ聞こえてくる


「全く…護衛も付けずに一人で行くだなんて…」

「俺はそんなに弱くないぞ…」

「知ってます」


手を引き暖炉の前まで招く
暖炉の炎も、こんなに冷たくなって…などという呟きも
冷たい体にしみて暖かかった


「ノエル…」

「…なんですか？」


恥ずかしいんだが…その言葉を飲み込む
座ってる後ろから抱き留められているのだがきっと
本人は暖めているつもりなのだろう
至極真面目に

何も言わないときっと色々勘違いされそうだが先の言葉を言える訳もなく悩んでいると
指先に硬いものがあたった


「あとで渡そうかとも、思ったんだが…これ」


くるり、と向かい合うような態勢をとると
白い包みに赤いリボンで彩られた小さな箱を突き出す

そういう日、らしいからな…
言ってて顔に熱が集まるのを感じる
ノエルといえば呆然とした様子でその箱を見つめている


「開けてもよろしいですか？」

「既にお前のだ、好きにしてくれ…」


人に物を渡すのはやはり恥ずかしいのか
誤魔化すようにノエルの胸に顔を沈める


「これは…」


丁寧に包みを開け黒い箱を開く


「いつまでも、おさがりじゃ、悪いと思って…その…お揃い、だ…」


顔を覗き込むように恥ずかしそうに見上げ
髪を耳にかけるようにかきあげる
其処にあるのはシンプルな青い石が揺れるピアス

ノエルが手に取るものと色は違うが形は同じ物で
ノエルはニドの耳元と手元を交互に見る


「…お前の目の色に似てたから……」


また逃げるように胸に顔を沈めると今度はぎゅうと抱きしめられた


「本当、貴方という人は…可愛いですね」


フフ、と笑みを洩らしピアスを付け替える


「どうですか？」

「…似合ってる」


顔を真っ赤にし目線を反らすと
正面を向かされ唇が重なる


「ありがとうございます、こんなに素敵なものをくださって」


お礼をしなければなりませんね
そう言うノエルの言葉に首を横に振る


「共に、いてくれるだけで、十分だ…」


いつもは白い抱き返すその腕も顔も赤く

今はきっと、雪に紛れることはできない…







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メリークリスマス！


12月までフリーにするとかいう羞恥プレイをしてみる

クリスマス過ぎちゃったけどね！
2011.12.26 yukinori