R*Fragments V++

世界の色が変わってから



世界が色を失ってから





俺は剣を取った






瞳を、剣を紅蓮に染めた












.

さびた鉄の匂いが


いくら体を清めても


消える事はなかった


ぐらりと揺れるのは世界か、俺か





人から


石を投げられることもしばしばで


今もこうして罵声を受ける





人間の姿をした


悪魔めと





パラディンが辛そうな顔をしながら盾で守り


レネゲイドが反論しようとする





俺はそれを止める


何故なら何一つ


間違えていないのだから





そう、俺はもう


人であって人ではないのだから





石が額に当たる


皮膚が裂け


溢れだす鮮血





交差する…赫





視界が紅く染まる


『悪魔』の含み笑いが聞こえる








「是が悪魔と？笑わせるな人間、是が悪魔なら貴様らとうに死んでるわ」








悪魔が三叉槍を構えれば


人の短い悲鳴が聞こえる








「これ以上主(ロード)を傷つけるなら私とて容赦はせぬぞ」








火竜が業と炎をあげる


人が何かを叫びながら遠退いてくのが見える








「ぁあ、ニド、大丈夫かい？」








物珍しそうにロキが覗き込む








「唾を付けとけば治るらしいぞ」





真顔で言うオーディン











ぁあ、何だろう


胸が温まるような感覚








「無茶をするなよ、人間は脆いのだからな」








ひゅんひゅんと周りを飛びながらくつくつと悪魔は笑った











世界の色が変わってから





俺は仲間という存在を得た





世界が色を失っても





俺は何も失ってはいない